口約束で渡したお金は返ってこない?知らなきゃ損する贈与のポイント

口約束で渡したお金は返ってこない?知らなきゃ損する贈与のポイント

例えば、『100万円を渡すから今後、私との接触は遮断してほしい。』

と言って、お金を渡しはしましたが、1週間後に気が変わって遮断をない話にしたい場合、渡したお金は戻ってくるのでしょうか?

また、テレビを見ていたときの話ですが、

好意を寄せていた水商売の女性に、『100万円を渡すから今後は水商売を辞めてほしい』と言って、女性は一時的に水商売を辞めましたが数週間後にまた水商売を再開していたという内容のものでした。

当然、男性は約束を破られたので、渡した100万円を返せ!となりますが、果たして渡したお金は戻ってくるのでしょうか?

口約束で渡したお金は返ってこない?知らなきゃ損する贈与のポイント

今回のようなケースでポイントになってくるのは

  • あくまでも口約束で、書面によるものではない。
  • お金を渡された人は、一時的には約束を守った。

この2つがポイントになってきますね。

口約束はどれくらいの効力があるの?

小学生から社会人、老人に至るまで、口約束は常に行っているものではないでしょうか?

しかし、住宅や車の購入時、保険契約の場合など重要な契約はほとんどが書面で行っています。

このように考えると、口約束の効力は弱いように感じますが、はたして口約束の法的な効力はどれくらいのものなのでしょうか?

今回は、お金を渡しているので、法律上は『贈与』というものになります。

贈与とは?

そもそも贈与とは何なんでしょうか?

贈与とは、贈与者(渡す人)が財産を受贈者(受け取る人)に対して行う行為で、双方の同意があった場合に成立します。

このことを贈与契約と言います。

単純に贈与契約のみであれば、書面の場合も口頭の場合も同じ意思表示として扱われます。

また、渡した財産に瑕疵があった場合でも、贈与者が知らない瑕疵については、責任を負う必要はありません。

例えば、マンションを贈与したが、実は手抜き工事で作られてた場合、贈与者が欠陥を知らずに贈与した場合は、瑕疵責任を負う必要がないということです。

口約束と書面の違い

1番のポイントがココですね。

まず、書面によって行われた贈与契約は、取り消すことができません。

ですが、口約束の場合は取り消すことができるんです。

ということは、上記で紹介したようなケースの場合、渡したお金は戻ってくると考えることができますね。

 

と、思いたいのですが実は違います。

基本的には口約束を取り消すことはできるのですが、履行が終わった部分については取り消すことができないんです。

口約束の履行のタイミング

では、口約束での履行とはどのタイミングになるのでしょうか?

今回のようなケースの場合だと、お金を渡したタイミングが履行となります。

『100万円を渡すから、水商売を辞めてほしい』というケースでしたよね。この約束では、最初にお金を渡してしまっているので、履行は終わっている=取り消しできないと判断されます。

停止条件付贈与であれば・・・

今の口約束を、

『水商売を1年間辞めてくれたら、100万円を渡す』というようにしていれば、お金を渡すタイミングは1年後になるので、贈与契約を取り消してお金も渡す必要もありませんでしたよね。

このように、条件を提示して、その条件が満たされたときに贈与する行為を『停止条件付贈与』と言います。

贈与したお金はどうなるのか?

結論から言うと、渡したお金は戻ってきません。しかし、将来に向かっての契約については取り消すことができます。

例えば、今回のケースを例に、水商売を辞めたら毎月10万円を渡すという贈与契約の場合です。

すでに支払った部分のお金については、贈与契約を取り消しても戻ってきませんが、取り消した後の部分については、お金を支払い続ける必要はなくなります。

受贈者は、書面による契約が望ましい

前述したように、口約束での贈与契約は、取り消すことが可能なものです。一方的に金銭を受け取るような、受贈者にとって有利な贈与契約は取り消されないためにも書面により契約することが望ましいと言えます。

書面といっても堅苦しい契約書のようなものが必要なわけではありません。

贈与者の意思がわかるような内容が書かれていれば、書面による契約とみなされます。

なぜ口約束は取り消すことができるのか?

1番の理由は、贈与者を保護するためです。

お酒の席など、気分が良くなっていると軽はずみに、100万円あげるよ!と言ってしまう場合があった場合、取り消すことができなければ、酷ですよね。

もちろん、一度口にしたことは守るのが人としての誠意だと思いますが、全てにおいて適用させてしまうと、あまりにも贈与者にとって不利なものとなってしまいます。

このような考えから、口約束による贈与契約は取り消すことができるとされています。

ただし、すでに履行が終わった部分については取り消すことができないので、よく考えて贈与を行いましょう。

様々な種類の贈与がある

ここまで紹介してきたのは、一般的な贈与についてですが、贈与には他にも種類があります。

定期贈与

毎月10万円を渡す!と言って契約した贈与を定期贈与と言います。先ほども似たような内容がありましたね。

定期贈与の場合、贈与者か受贈者のどちらかが死亡すると効力がなくなります。

負担付贈与

住宅ローンが残り800万円あるマンション(時価1500万円相当)を贈与するかわりに、ローンも受け取ってほしいというような贈与を負担付贈与といいます。

このような内容の贈与契約を取り消すことができるのは、受贈者が、住宅ローンの返済をしなかった場合です。つまり、債務を履行しない場合に契約を取り消すことができます。

また、履行が終わった部分は取り消すことができないので、受贈者が支払った部分の債務についても返却する必要はありません。

死因贈与

贈与者が死亡したときに効力が発生する贈与のことを言います。

例えば、『私が死んだら500万円をあなたに渡そう』と言ったものです。

遺言ってこと?

と思う人がいると思います。たしかに死因贈与と遺言による遺贈は似ていますが、実は違います。

前述した通り、贈与は贈与者と受贈者の双方の同意により契約が成立します。

一方の遺言による遺贈は、贈与者の一方的な意思で成立します。

ここが決定的に違う部分ですね。

ただし、死亡による贈与なので、税法上は、贈与税ではなく相続税が課せられることになります。

まとめ

今回紹介した贈与は、私たちの暮らしの中でも発生する可能性は十分にあります。

口頭でも、約束は約束だから守るのが人として当たり前だと考えますが、それは受贈者の立場での意見です。反対の立場である贈与者になった場合でも、同じようなことが言えるのでしょうか?

立場が変われば、人の意見は簡単に変わるものですよね。

このように考えると、口約束による贈与契約は取り消すことができるということにも納得できるのではないでしょうか?

結論としては、

口約束は取り消すことができるが、すでに渡した部分(履行が終わった部分)については、取り消すことができないということになります。

くれぐれも軽はずみに、贈与を口にしないように注意していきましょう!

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