相続した土地を有効に使いたいと考える人も多いと思います。
土地や建物を相続しても、ほったらかしのままにしておくと、固定資産税などの支払いばかりで実質、負債になってしまうためですね。
しかし実際に相続するとなると問題が出てくることもあると思います。
相続は誰にでもやってくる可能性はあるものです。
しかし、相続の準備や対策、知識を身につけている人は思っている以上に少なく感じます。
例えば、テレビ番組で、相続に関するクイズを見かけることがありますが、その問題のほとんどが基本的で簡単なものです。しかし、出演者を含め、大多数の人が『相続』に関する正しい知識を身につけていないため、誤った解答をしてしまっています。
相続は、なんとなく難しいと思われていますし、若い働き世代の人にとっては、親もまだまだ健在ということもあり、相続に対してあまり深く考えようとしていません。
しかし、相続は突然やってくるものです。
親族がなくなった悲しみも消えないうちに相続の話も進んでいき、よくわからないまま相続をしてしまうなんてことも十分にあり得ます。
しかし、深く考えずに安易に不動産を相続してしまうと、固定資産税などでその後の人生に大きな影響を与えることにもなります。
相続したらまずは登記簿の確認を!
不動産を相続することになったらまず最初にすることは、
不動産の状態を確認です。
土地や建物の状態をリアルで知っていたとしても、登記簿を確認しないと見えてこない部分もあります。
名義の確認や変更も重要なことですね。
名義変更をしないと様々な問題も・・・。
例えば、父が亡くなって土地を相続することになった場合、土地の名義変更の手続きは必要になるのでしょうか?
土地の所有権は、父が亡くなると自動的に相続人に移りますが、手続きをしないと法的な効力を発揮することができなくなります。
所有権を主張できなくなるため、賃貸マンションやアパートの場合だと、家賃不払いがあった場合にスムーズに物事が運ばなかったり、近隣の土地所有者や住民んと境界線のトラブルで解決に時間や手間がかかったりします。
このようなトラブルをスムーズに解決することができなくなりますし、手間や時間もかかり労力もかかってしまいます。
法的に、いつまでに手続きを行わないといけない。というような決まりはありませんが、上記のような問題を避けるためにも、相続したらできるだけ早いうちに名義変更をして、『自分の所有物だ!』と正当に主張できるようにしておきましょう。
登記簿で遺産の状態を確認する
登記簿は、普段の生活では馴染みのないものですし、実際に不動産を保有していないとなかなか気にとめないものだと思います。
また、不動産を所有していても、登記簿についてよく知らないなんて人もいるくらいですね。
登記簿に記載されているのは、
- 表題部(住所や面積など)
- 権利部(甲区と乙区)
表題部は土地や建物の物理的な情報となっており、所在地や番地、家屋番号、面積などが記載されています。
権利部には甲区と乙区があり、ちょっと難しそうに思えますね。
しかし、重要な情報が記載されていて、しっかりと確認しておかなければなりません。
甲区には、所有権に関することが記載されていて、誰のものかを示しています。
そして、甲区には所有権以外に関することが記載されています。
『抵当権』や『貸借権』などですね。
抵当権は、簡単に言うと
『借金を返済しないと、この土地(建物)を売り飛ばす!』
といったものです。
住宅ローンを組むときは、購入した家に抵当権が設定されることになります。つまり、住宅ローンが支払えなくなったら家を売られてローンの返済に充てられるということですね。
抵当権は『担保』と同じように考えて差し支えありません。
土地や建物を相続するときは、登記簿で上記のような情報をしっかりと把握することが大切ですね。
特に、権利部に関する事項は重要です。
登記簿の内容を確認する方法
登記簿の閲覧は誰でも可能なんです。
土地や建物を購入するときは、営業の人が登記簿をとってきてくれますね。
法務局で申請すれば、
登記事項要約書
登記事項証明書
を取得することができます。
『登記事項要約書』は登記の概要を記載したものになっていて、『登記事項証明書』は登記事項の全てまたは一部を証明したものになります。
- 要約書は、現在の情報
- 証明書は、要約書+過去どのような経緯かも調べることができる。
また、この2つは取得の金額がちがい、証明書のほうが取得にお金がかかります。が、今後の手間などを考えると念のために『登記事項証明書』を取得しておく方が無難と言えるでしょう。
ちなみに1通600円ほどです。
相続は、争いのタネにも・・・
ワイドショーで特集を組まれたり、法律相談のテレビ番組でも頻繁に取り上げられている問題に、不動産相続があります。
不動産相続に関するきちんとした知識がないと問題が長引いたり、親族で争うなんてことにもなります。
また、不動産相続については、 『それは、おかしい!』と思えるようなものもあります。
例えば、2人兄弟で、1人が父の介護をしていて、弟がまったく介護や世話をしなかったとしても法的には、この2人の兄弟の相続は同じように行われます。
もちろん、遺言があれば別ですが、なければ法律で定められている通りに淡々と遺産が分割されて相続されていくことになります。
これから遺産を残していく人だけでなく、遺産を相続する立場にある人も、親族間でいざこざやもめ事が起きないように遺産相続について早めに準備しておくことが大切です。
相続人を全て調べないと登記できない?
相続登記には、相続人のすべてを調べる必要があります。
わざわざ調べなくてもわかりきった場合もあると思いますが、もしかしたら隠し子がいるかもしれません。
また、隠し子がいないということも証明しなければなりません。
『戸籍謄本』を確認すればわかりますが、被相続人の結婚前の戸籍や、産まれた時の戸籍も調べる必要もでてきます。
戸籍謄本は本籍地の市町村で取得することになるので、これが意外とやっかいなものになることもあります。
法廷相続人を理解しておく
遺言によって遺産相続が明確になっている場合には、相続人を調べる必要はありません。
しかし、遺言もない場合は『法定相続人』に定められた人で相続をすることになります。
法廷相続人とは、
- 配偶者
- 子
- 直系尊属
- 兄弟
となっています。
上図のように、なっていて最優先に相続されるのが『配偶者』です。
次に子、親、兄弟の順で相続していくことになります。
相続人全員の実印と署名が必用
相続登記では、『遺産分割協議書』を提出することになるのですが、相続人みんなの署名と実印が必用になってくるんです。
遺言書がある場合は『遺産分割協議書』は必要ありません。遺産の分割について遺言書に記載されているためですね。
遺産分割協議書では、印鑑証明書や戸籍謄本も必要になるので、法定相続人が多いとかなりの手間になってしまいます。
父から相続した土地の名義が祖父になっていたら?
実家を、父の死亡により相続したことになり、登記簿を確認したら、名義が祖父のままになっていた。
なかなかないケースと思われますが、相続による名義変更には期限がありません。相続してから、いつでも名義変更をしていいことになっています。
つまり、父が相続したときに名義変更をしていなくても、法的にはなにも問題ないことになるので、このような状態が起こり得るのです。
この場合、まずは祖父から父への名義変更きをしたあとに、父から自分への名義変更をしなくてはなりません。
必要書類も多くなりますし、不明な点も多く出てくると思います。
登記簿を確認して、名義におかしな点があったら、まずは法務局に問い合わせてみましょう。
不動産を売却できない?
相続する不動産の名義が、祖父のままで変更されていなかった場合は祖父の相続人みんなで不動産を共有していることになります。
ということで、『遺産分割協議』を行ってからでないと売却はできませんし、相続もできません。
名義変更には、法的な期限はありませんが、ざまざまな問題が発生する可能性があるのでできるだけ、相続をしたらできるだけ早く名義変更をするとともに、これから相続するであろう不動産の名義も確認しておくことが重要です。
まとめ
相続には、相続税や遺産の分割、名義変更などいろいろな手間がかかってしまいます。
今回の記事では主に登記に関する基本的なことを紹介してきましたが、他にも身につけておきたい知識は沢山ありますし、相続する遺産が多ければ『相続税対策』も重要になってきます。
まずは、この記事で登記に関する基本を身につけ、それから具体的な相続に関する知識を身につけていきましょう!