『不動産投資で将来の年金対策ができますよ!』
このようなセールストークで不動産投資を勧めてくる営業マンはたくさんいますね!
でも、本当に年金対策になるのでしょうか?
たしかに、老後の年金が足りないという問題は表面化していて、このまま何もせずに老後を迎えるのはリスクが高いのも事実です!
でも、不動産投資にもリスクがあるのも事実です!
ということで今回は、
『本当に不動産投資で年金対策ができるのか?』
について解説していきます!
不動産投資が年金対策になるのはホント?FPが見極めポイントを解説!
なぜ不動産投資が年金対策になるのか?
不動産投資の1番の魅力は家賃収入です。
毎月決まった金額が家賃として入ってくるのでそれを『年金対策』と呼んでいます。
簡単な流れは、
- ローンを利用して物件を購入
- ローンの支払いは家賃収入から支払う
- ローン返済後は家賃が全て収入となる
不動産投資をする場合は、ほとんどの場合で『ローン』を利用することになりますが、毎月のローン返済分は家賃で支払うので毎月の負担はほとんどありません。
そして、ローン返済後には賃貸物件だけが手元に残り、年金の代わりとして受けとることができるんです!
しかも、
ローン返済額<家賃収入
このようになると毎月の収入をプラスにしながら老後の年金対策ができるというわけです。
毎月のプラス分はローンの繰り上げ返済に使ったり、生活費の足しにできますね!
また、節税もできますし、生命保険の代わりにもなります!相続税対策もできます!地価が上がれば売却益だって狙えます!
と、ここまでが営業マンが良く言う魅力にあふれたセールストークになります。
これだけ聞くと、不動産投資が魅力だらけで、やらない理由なんてない!とまで思えてきますよね。
でも、ちょっと待ってください!
営業マンが決して自分から語らないリスクやデメリットもありますし、確実に年金対策できる保証はどこにもありません!
不動産投資による年金対策のリスクとは?
不動産投資で年金対策ができるのは間違いではありませんが、リスクがあるのも忘れてはいけません!
空室になると家賃収入は0円!
当然ですが、家賃収入は住んでいる人がいないと得ることができません。
あなたの住んでいる近所のマンションやアパートは全ての部屋が埋まっているでしょうか?
おそらく、空室があると思います。
ローンの返済計画や老後の年金対策も『空室なし』を前提として説明されますが、空室リスクはどんな物件にも存在しているんです!
年金対策になると言われて安易に購入するのではなく、その物件は需要のある物件なのかも確認することが大切です!
人口が減少している=需要がなくなる
日本の人口はどんどん減っています。
内閣府によると約30年後の2048年には人口が1億人を割り込み、100年後には4286万人にまで人口が減少すると言われています。
不動産投資は入居者がいて成り立つビジネスなので、入居者となる人口そのものが減少すれば、不動産の需要はなくなっていきます。
今から30年後というと、これから不動産投資を始めた人が年金をもらい出すタイミングですね。
このタイミングから人口減少はさらに加速していくんです!
不動産投資は場所が全て!
減り続ける人口の中でも、都市によっては人口を伸ばしている場所もあります。
総務省統計局によると、
全国で7つの県が人口を増やしていることがわかります。
今後もこの流れは続くと予想され、
- 都市部に人口が集中
- 郊外は人口が減少
このようになっていきます。
郊外のアパートやマンションは物件価格も安く高い利回りが期待できるとされていますが、年金対策として長期的な視点で考えると、郊外への不動産投資はリスクが高すぎると言えます。
年金を受け取るときは築年数が30年以上
物件を購入したときは、新築だったり築浅の物件も、30年後の自分が年金を受け取るころになると、物件もそれなりの築年数になっています。
そこで考えなければならないのが、
- 修繕費
- 家賃の低下
- 空室リスク
- 現金化しにくい
この4つです。
建物が老朽化すればそれだけ修繕費用が発生します。
また、築年数のいった物件は、新築の物件と同じ家賃で借り手が見つかるわけがありません。
家賃を下げないと借り手が見つからずに『空室』になる可能性も大いにあります。
そして、預金や上場株式に比べて現金化しにくいのも難点です。
収益性の落ちた物件を所有しているよりも売ってしまって現金化したくなることもあると思います。
しかし、物件が売れるまでは数か月の期間がかかってしまいますし、そもそも収益性の落ちた物件を購入したいと思う人も見つかりにくくなってしまいます。
いつまでも今の家賃収入があると考えずに、長期的な視点で資金計画を立てましょう!
不動産はコストがかかる!
ローンの支払いが終われば、家賃は全て手元に残ると考えてしまいますが、不動産は所有しているだけでコストが発生するものです。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 管理費
- 修繕費
- 所得税・住民税
このように様々なコストが発生するので、たとえローンの支払いが終わったとしても家賃の全てが収入になるわけではないんです。
営業マンの言う『利回り』を信じない!
『コチラの物件は利回りが7.0%もあるのでオススメです』
といったセールストークを聞きますが、その利回りを信じてはダメです!
利回りには、表面利回りと実質利回りがあり、営業マンや広告で表示される利回りは『表面利回り』のことを言っています。
利回りは『理想的に不動産経営ができる』ことを前提に計算されたもので、空室リスクや修繕費などの費用については考えられていないんです。
調子の良い営業マンに、利回りでアピールされたら疑うようにしましょう。
不動産投資で年金対策をするためには?
様々なリスクやデメリットを含んでいる不動産投資ですが、年金対策になることは間違いありません!
年金としてしっかりと不動産投資を成功させるためのポイントを押さえて投資することが重要です!
ローンの利息を少なくする!
まずは、ローンの利息部分をいかに低くおおさえるかが重要です!
金利2%、借入金1500万円、35年ローン、元金均等で物件を購入したとすると、
支払う利息の総額は、約526万円にもなります。(ローンシミュレーター調べ)
つまり、1500万円の物件を2000万円で購入していることになります。
この利息はハッキリ言って費用ですし、できるだけ早く解消することが、将来の年金対策として有効になってきます。
- 頭金を入れる
- 繰り上げ返済をする
- 金利の低い金融機関を利用する
この3つの方法で利息を少なくしましょう!
最近では、10万円の頭金で物件を買えることが多く、ほとんど頭金なしで不動産投資ができてしまいます。
しかし年金対策として長期的な視点で考えると、頭金はできるだけ多く用意しましょう。
また、頭金が多い方が金融機関からの評価も高くなり金利の面でも優遇されることもあります。
繰上げ返済にしても、できるだけ利用するようにしましょう!
不動産投資では家賃収入からローンや管理費・修繕費などの費用を差し引いてもお金が残ることが多いです。
そのお金は使うのではく、貯めておき繰り上げ返済の原資にします。
併せて、確定申告で節税できたお金も繰上げ返済の原資にすることで、より早くローンの返済が可能になります。
高齢者の需要も考える
人口減少とともに急激な少子高齢化も日本の問題となっていますね。
総務省統計局で資料を確認してみると、15歳未満の割合が急激に減少している一方で、65歳以上の割合が急激に伸びていることがわかります。
周りを見渡せば高齢者だらけになっていくんです!
ということは、投資する物件も『高齢者向け』を意識していかなければなりません。
将来的には間違いなく高齢者が多くなっているので、高齢者にも需要がある物件に投資することが年金対策にもつながっていきます。
サブリースに頼らない!
サブリース契約は、入居者がいなくても家賃を保証してくれるもので、『空室リスクが0』にすることができます。
具体的には、オーナーである私たちが、サブリース会社に物件を貸出し、サブリース会社が入居者を探したり管理するものです。
会社から家賃が入ってくるので、倒産しない限りは安定した収入を得ることができます。
しかし、保証されていた家賃が減額されたり、家賃の1~2割を手数料として支払うことになるデメリットもあります。
年金対策として、サブリースを利用する場合はデメリットやリスクもしっかりと理解しておきましょう!
付き合う業者を間違わない!
物件を買う場合、不動産業者を利用することになります。
不動産業者は数えきれないほどあり、選びたい放題ですね!
しかし、この業者選びが重要なんです!
信頼できる業者、実績と実力のある業者、投資する地域に強い業者などなど。
業者を選ぶときは、これらの点に注意しておくことが重要です!
必要な老後資金はいくら?
老後のために必要なお金は人によって様々です。
会社員や公務員、フリーランス、自営業、農家、主婦など。
その人の職業によってもらえる年金は違います。
また、厚生年金は現役時代の年収によっても、もらえる年金額が違ってくるものです。
自分がもらえる年金額を確かめよう!
まずは、自分が将来どれくらいの年金がもらえるのかを確認しましょう!
毎年、誕生月の前後1か月に送られてくる『年金定期便』を使えば簡単に調べることができるんです!
日本年金機構のねんきんネットにアクセスしてユーザー登録をすると、現在の年金加入状況や、将来もらえる年金を試算することができます。
老後に必要なのは2000万円
日本の年金制度は、国民年金と厚生年金、そして企業年金などの3階建てになっています。
20歳以上の全ての人は国民年金に加入することになっていて、厚生年金は会社員や公務員が対象となっています。
受給額の平均は、
- 国民年金は月5万5000円
- 厚生年金は月18万円
となっています。
平均額は23万円前後になるんですが、年金の大半を占めるのは『厚生年金』です。
厚生年金の受給者は会社員や公務員の人で、自営業やフリーランスの人の年金は国民年金だけの5万5千円なんです。
つまり、老後に2000万円必要とされているのは、厚生年金受給者であり、自営業やフリーランスは倍以上のお金が必要になってきます。
仮に、65歳から年金を受給して、それから死亡するまでの20年間で2000万円を切り崩していくことになります。
1年で100万円、月に換算すると83,000円になります。
ということで、不動産投資で年金対策をするためには、この83,000の家賃収入を目指すことになります!
まとめ
不動産投資で年金対策をするためには、リスクやデメリットをしっかりと理解することが大切です。
また、自分がもらえる年金額を確認して、どれくらいの規模で投資すればいいのかも計算しましょう。
家賃収入は年金の代わりではなく、年金の上乗せです。
不動産業者の甘い言葉を全て信じることなく、しっかりと知識を身に付けておくことも重要です。
今のままでは、年金対策をしないと老後貧困に陥る可能性が高くなってしまいます。
不動産投資が、年金対策に効果的なのは確かなことなので、あとは自分でしっかりと考えて見極めることがポイントになります!