投資信託には、アクティブ運用とパッシブ運用と呼ばれる、タイプの違う運用方法があります。
インデックス運用もよく聞く単語ですが、パッシブ運用と同じ運用方法と考えてもらって問題ありません。
運用方法は、投資信託を選ぶときに非常に重要なポイントで絶対に軽視できないところです。
では、実際にはどちらが優れた運用方法なのでしょうか?
それぞれの運用方法を比較してハッキリさせてみいましょう!
アクティブとパッシブ、どっちが優れている?
運用方法をおさらい
まずは、アクティブ運用とパッシブ運用がどのような運用方法だったのかを復習しておきましょう。
アクティブ運用とは?
アクティブ運用は、ベンチマーク以上の結果を目指す運用方法です。
ベンチマークとは、東証株価指数や日経平均株価などが代表的で、市場の平均を表すものになっています。つまり、ベンチマーク以上の結果を目指すということは、これらの指数よりも大きな値動きをするように目指すってことになります。
パッシブ運用とは?
パッシブ運用は、ベンチマークと同じような結果を目指す運用方法です。
日経平均株価などの大きな指数は、株価の上下幅が少なく、1日にせいぜい百数十円ほどしか動きません。
ということは、パッシブ運用は大きな利益を狙うというよりも安全性を重視しながら利益を狙う運用方法になりますね。
メリットとデメリット
まず、パッシブ運用のメリットは安全性の高さです。
日経平均などの指数は、暴騰することがめったにありません。実際にニューズなどで株価を確認しても、
『本日の日経平均株価は小幅な値動きになっています。』
というような報道をされていることがほとんどではないでしょうか?
バブル崩壊やリーマンショックなどのよほど大きなことが起きない限り市場の平均価格は急降下することはありません。
逆に言うと、値動きが小さいため、運用によって得られる利益も少なくなるデメリットもあります。
長期での運用に向いている方法と言えますね。
一方のアクティブ運用は、ベンチマーク以上の成果を目指す運用方法なので値動きの幅が大きくなります。
つまりリスクが大きくなるということです。
*ちなみに投資で言うところのリスクとは、値動きの幅のことを言います。
現在、SBI証券で最も人気の投資信託もアクティブ運用のものになっていています。
手数料の違い
それぞれの運用方法では、手数料が決定的に違います。
パッシブ運用は、日経平均株価などの市場の平均値をベンチマークとして運用しているので、細かく銘柄を調査する必要はありませんし、投資信託に組み込んでいる銘柄の入れ替えの頻度も少なくなります。
そのため、信託報酬と呼ばれる、投資信託に支払う運用費用を安くおさえることができます。
具体的には0.2%程度ですね。
反対にアクティブ運用では、ベンチマーク以上の結果を目指しているので、銘柄の調査も深く詳しくなりますし、組み込んでる銘柄の入れ替えの頻度も高くなります。
手間がかかるため信託報酬は高くなりやすく、2%以上の信託報酬になります。
また、信託報酬は、成果が出たときに支払うものと思いがちですが、成果が出ずにマイナスの運用結果のときにも支払わなければなりません。
信託報酬2%は、運用を任せている金額に対する%です。
100万円の投資信託を購入した場合、成果の有無にかかわらず2万円ほどが信託報酬としてなくなってしまいます。
ということで、手数料は圧倒的にパッシブ運用に軍配があがりますね。
これまでの実績は?
では、投資信託の歴史をふりかえり、パッシブ運用とアクティブ運用のどちらがより多くの成果を出しているのかを確認してみましょう。
投資信託の評価会社であるモーニングスターの記事ですね。この記事の中に興味深いものがりました。
これを見てみると、アクティブ運用の信託報酬と勝率の関係が非常に重要ということがわかります。
一般的に、信託報酬は高額なほど、いい成績をあげてくれる投資信託と思われていますが、実績を確認するとそうとは言い切れないのが事実です。
まず、運用期間が1年の短期運用の場合の信託報酬と勝率の関係は、
信託報酬が安い投資信託は勝率が低いが、信託報酬が高いほど勝率が高いとはいえないことがわかります。
また、10年の長期運用を見てみると、
信託報酬が安いものは勝率が圧倒的に高くなっています。
このような結果になった要因は、
アクティブ運用の信託報酬の高さにあります。
信託報酬が高いと、何も成果が出ていなくても資産は目減りしてしまいます。
例えば信託報酬が5%の投資信託の場合、利回り4%で運用できていても、実際には資産が減っていってしまいます。
コチラの記事にも気になるデータがありました。
アクティブ運用とパッシブ運用を10年の長期の運用期間で比較したものです。
なんと、パッシブ運用のほうがより高い成果を出しているんです。
アクティブ運用はベンチマーク以上の結果を目指す運用です。ということはベンチマークと同じ結果を目指すパッシブ運用よりも高い成果が出るはずですよね。
ですが、実績を確認してみると、パッシブ運用のほうが高い成果を出すことがわかりました。
ちなみに米国での実績は、明暗がもっとハッキリと出ています。
世界的に見ても、パッシブ運用のほうが結果をだしていることになります。
パッシブ運用はリターンが小さいというのは思い込み
パッシブ運用はベンチマークと同じような成果を目指す運用方法ですよね。ベンチマークとは市場平均のことで、値動きの幅も小さいとされています。
この、『ベンチマークと同じ動き』という言葉が、リターンが小さいと思われている原因ではないでしょうか?
運用期間による違い
10年という長期の運用期間であればパッシブ運用がすぐれていることがわかりますが、これって考えてみれば当然のことです。
日本や米国は先進国で経済は長期的に見れば発展しています。もちろん短期的にみれば世界情勢や、震災等の影響で株価が下落することもあります。
とにかく長期で持ち続けることができれば、ほとんどの場合で成果を出すことが可能になるんですね。
このことをふまえて考えると、1年の短期運用では、勝率が下がることにも納得できます。
株価は常に上下していますし、突発的な出来事で大きく下落することもありますし、暴騰することもあります。
アクティブ運用では、市場平均ではなく特定の銘柄の値動きで成果を狙うものなので、勝率は低くなりますが、やはり大きな成果を狙えることにもなります。
日経平均株価は、1度暴落すると、もとの株価に戻るまでに時間がかかり、実際にバブル時につけた最高値をいまだに上回ることができていません。
このような株価の仕組みと、運用期間の関係を考えると、パッシブ運用とアクティブ運用の勝率の違いにも納得できますね。
ウォーレン・バフェットはどう考えているのか?
投資の神様と言われるウォーレン・バフェット氏も本を読む限りでは長期のパッシブ運用を好んでいると思います。
また、S&P500をベンチマークとする投資信託をオススメしていて、このことからもパッシブ運用寄りの考え方だとわかります。
投資信託を選ぶときのポイントは?
では、投資信託を選ぶときのポイントはなんでしょうか?
ここまでの記事の内容では『パッシブ運用一択』となりがちですが、必ずしも正しい選択とは言えません。
前述したように、運用期間によって大きく変わります。
短期で、リスクをとってもいいので大きなリターンを狙いたい人はアクティブ運用が合っていますし、老後資金など、長期的に貯めながら運用したい人はパッシブ運用が合っています。
投資信託が多すぎて選べない
日本には6000を超える投資信託があります。
しかし日本の上場企業の合計は約3600企業です。
ん?おかしいことになっていますよね?
投資信託は複数の銘柄の株式に投資してますし、株式だけではなく債券も扱っていますし、中には海外のものを扱っている投資信託もあります。それだけ数が多くなるのもわかります。
しかし、6000を超えるのは異常事態だと言えます。
『投資信託は6000を超えていて、自分に合ったものが必ずみつかる』と言われていますが、これだけ数が多いと見つけることは簡単ではありません。
投資信託初心者の人は、まず選べなくなり、結果として証券会社が紹介しているランキングに頼るしかなくなります。
そこで、オススメしたい選び方が、
『パッシブ運用の投資信託に絞る』という方法です。
前述したように、勝率はパッシブ運用に軍配が上がっていますし、運用のわかり易さからも、初心者向けの運用方法と言えます。
これからの株価はどうなるのか?
私も専門家ではないので、断言できませんが、
日経平均株価は上昇すると思っています。
懸念材料はありますが、専門家も、上昇するいう考えの人が多いです。
経済アナリストなど、その道のプロでも今後の株価を予想するのは難しいですし、予想を外しているプロもたくさんいます。
プロが一生懸命考えても株価は予想できないものなので、私たちが考えても正確に株価を予想するなんて不可能ですよね。
それでも、これだけ多くの専門家が『上昇する』と言っているので、私は上昇する可能性が高いと思っています。
つまり、パッシブ運用で利益を得ることができるってことになりますね。
まとめ
今回は、投資信託の運用方法について比較、検証してみましたね。
運用期間によって差がありますが、全体的にみると
パッシブ運用のほうが優れた運用方法だと言えると思います。
その1番の要因は、信託報酬にあり、信託報酬の安いパッシブ運用が成果を出しやすいのではないでしょうか。
安全性が高く、わかりやすいパッシブ運用は投資信託の入門に最適な運用方法ではないでしょうか?