イデコは、掛金の全額が所得控除、運用中の利益も非課税、受け取るときは公的年金控除や退職手当控除の対象というように、『節税』が大きなメリットの資産運用ですね。
一方のつみたてNISAも運用中の利益が非課税になる『節税』が魅力の資産運用です。
『節税』だけを比べると、圧倒的にイデコがオススメですが、つみたてNISAにはイデコにはないメリットもあります。
ということで、どちらが優れた資産運用なのかを徹底的に比較していきます!
イデコvsつみたてNISA!あなたに合うのはどっち?
イデコの特徴は?
イデコは、記事冒頭でも説明したとおり、『節税』が大きなメリットですね。
- 掛金を積み立てているとき
- 運用中
- 受け取るとき
イデコは、最初から最後まで『節税』ができるんです!
iDeCoの節税効果
iDeCoの節税は、運用利益と掛金の全額所得控除があります。
運用利益とは、保有している株50万円分が100万円に上昇したとき、50万円が利益になりますよね?これが運用利益です。
運用利益は儲かった金額に約20%の所得税がかかります。
運用利益が50万円だと10万円を所得税として納めなければならず、手元に残るお金は40万円になってしまいます。
iDeCoは、この10万円が免除(非課税)になり、運用で儲かったお金はすべて自分のものにできるんです。
つぎは掛金の全額が所得控除というメリットです。
そもそも所得税とは、収入に対しての税金です。
給料や年金、土地を売ったときなどに課税されます。所得の種類は10種類もあり、それぞれに計算式がありややこしい部分があります。
この10種類の所得をそれぞれ、ややこしい計算をして合算し(合算したものを課税総所得と言います)、その合算金額に税率をかけて所得税は決まります。
iDeCoの『掛金の全額が所得控除』とは、
10種類の所得の合算金額(課税総所得)から、掛金として支払った金額を引くということです。
税率をかけたあとの金額から掛金を引くわけではないいので注意して下さい。金額が全然変わってきます。
具体的にどれくらいの金額がお得になるかというと、
会社員で年収が500万円の人が毎月、1万2千円をiDeCoで積み立てた場合、計算すると4万3200円を節税することができます。
税率 | 公務員や企業年金のある会社員
毎月1万2000円が限度額 |
企業年金のない会社員
毎月2万3000円が限度額 |
自営業
毎月6万8000円が限度額 |
|
195万円以下 | 15% | 21600円 | 41400円 | 122400円 |
330万円以下 | 20% | 28800円 | 55200円 | 163200円 |
695万円以下 | 30% | 43200円 | 82800円 | 244800円 |
900万円以下 | 33% | 47520円 | 91080円 | 269280円 |
1800万円以下 | 43% | 61920円 | 118680円 | 350880円 |
4000万円以下 | 50% | 72000円 | 138000円 | 408000円 |
4000万円以上 | 55% | 79200円 | 151800円 | 448800円 |
上記の表を見ると自分がどれくらい『お得』になるかを調べられると思います。
また、計算式をきちんと理解したい場合は、当サイトの記事
これらの記事を読んでいただけると理解できるかと思います。
しかし、この計算方法はしっかりと理解する必要はありません。早見表は検索すればたくさん出てくるので、ここではだいたいの金額がわかれば十分です。
20歳から60歳までの加入期間
イデコは最大で40年間加入することができますね。
イデコの目的は、『年金の上乗せ』にあり、老後の生活費の準備が主な目的になります。
老後の生活費は、住宅資金と同じように多額のお金を用意する必要があり、長い期間をかけてじっくりとムリなく準備することが大切です。
最大で40年の加入期間があるイデコは、長くじっくりと老後資金を準備できるため資産形成に適した運用方法といえますね。
積み立て額は、その人の職業で違う
イデコには、年間で積み立てることができる金額が決まっています。
上限額 | |
第1号被保険者 | 月6万8000円
(年間81万6000円) |
第2号被保険者(企業年金なし) | 月2万3000円
(年間27万6000円) |
第2号被保険者(企業年金あり) | 月1万2000円
(年間14万4000円) |
第3号被保険者 | 月2万3000円
(年間27万6000円) |
上記のように決まっています。ちなみに公務員の上限は1万2000円ですね!
投資の対象
イデコで投資できるのは、
定期預金と投資信託になります。
投資信託は、商品によって複数の金融商品が組み込まれていて、株・債券(国内・先進国・新興国)、REIT、純金など様々です。
元本確保型になっている定期預金か、元本変動型の投資信託を選ぶことになるので、自分の取れるリスクやスタイルによって決めることが重要です。
受取は原則60歳から
イデコは60歳まで積み立てと運用を行い、60歳から積み立てた掛金を『年金』か『一時金』として受け取ることになります。
つまり、60歳まではお金がどうしても必要になっても引き出すことができません。
イデコはもともと老後の生活費として始まった制度で年金の上乗せが目的です。だから、60歳までは引き出すことができなくなっているんです。
積み立て方
以前は、毎月掛け金を積み立てる方式でしたが、2018年1月からはボーナス払いや年払いができるようになりました。
これにより、毎月1万8000円を積み立てた人が12月に、残ったイデコ枠を一気に積み立てたりもできるようになりました。
また、毎月積み立てるごとに支払っていた手数料も、年1回の支払いに変更することで実質1/12にまで節約することにもなります。
イデコの手数料
イデコにはいろいろな手数料が発生します。
イデコの口座作成時、日本年金基金連合会に支払う手数料、金融機関に支払う手数料(大手はほとんどノーロード)、投資信託に支払う手数料などですね。
また、年金として受け取るときにも、400(税抜)もかかります。
掛金が少なかったり、定期預金を選ぶと、資産が目減りしてしまう場合もあるので、手数料はしっかりと考慮しなければなりません。
イデコは5000円から始められる
イデコの上限金額は決まっていましたね。同じように、下限の金額も決まっているんです。
5000円が最低の掛金となっていて、それ以降は1000円毎にきざんで掛金を増やすことができます。
つみたてNISAの特徴は?
つみたてNISAの『節税』は、運用で得た利益が非課税です。
iDeCoのように、掛金も所得控除することはできないので覚えておきましょう。
節税メリットは圧倒的にiDeCoの勝利
掛金の全額を所得控除できる点でiDeCoが圧倒的にメリットがあることがわかります。
運用利益がない場合や、たとえ運用で元本割れなどの損をしたとしても、iDeCoだったらトータルでプラスになることもあります。それくらいiDeCoの節税効果が高いんです。
イデコの節税と比べると、『えっ!これだけ?』と思うかもしれませんが、つみたてNISAにしかない特徴もあるんです。
加入期間は最大でも20年間
イデコは最大で40年間も運用できますが、つみたてNISAは最長で20年となっています。
短く感じてしまうかもしれませんが、20年もあれば、じっくりと老後資金の準備ができますね。
また、20歳以上(2022年には18歳以上の予定)であれば何歳からでも加入することができます。
ただし、つみたてNISAが今のところ2037年までの制度となっています。
限度額はだれでも年40万円
イデコは、職業によって上限額が決まっていますが、つみたてNISAはだれでも年間40万円で、20年間で最大800万円が上限になっています。
目的によってつみたてNISAとイデコを選択すれば、自分に合った運用が見えてきますね。
投資の対象
つみたてNISAは、金融庁の基準を満たした、投資信託とETFが投資の対象になっていて、手数料が0円、信託報酬が一定以下などが基準となっています。
この基準は、つみたてNISAが20年間という、『長期的な投資を目的』としているからですね。
また、株式を主たる構成とする投資信託という条件もあるのが特徴です。
つまり、つみたてNISAで扱る投資信託は、どんなものでも株式を含んでいることになります。
一般的に株式は『リスクが高い』とされているので、運用によって資産が減ってしまう可能性があるのも覚えておきましょう。
受取は自由に決められる!
イデコは原則60歳まで引き出すことができず、自由度が低いのがデメリットですが、つみたてNISAはいつでも引き出すことのできる自由度の高さが魅力です。
若い世代の人は、これから結婚・育児・マイホームなどのライフイベントが盛りだくさんです。まとまったお金が必要になることが多いため、引き出しが自由なつみたてNISAが合っているとも言えますね。
つみたてNISAの手数料は?
口座開設や口座維持手数料が無料となっているのがイデコとの違いです。
また、販売手数料も無料(ETFは有料)なのも魅力ですね!ここはイデコと変わりません。
ということで、基本的につみたてNISAで発生する手数料は、『信託報酬』だけなんです。
つみたてNISAは1000円からできる!
イデコは最低でも5000円が必要でしたが、つみたてNISAは1000円という低額から資産運用ができます。
初心者が気軽に投資を始めるキッカケ作りとしても、つみたてNISAは考えることができますね。
イデコ×つみたてNISAを一覧比較
イデコ(iDeCo) | つみたてNISA | |
年齢条件 | 20歳~60歳 | 20歳~上限なし |
運用期間 | 最大で40年間 | 最大20年間 |
節税メリット | 掛金が全額所得控除、運用中は非課税、受取時も節税 | 運用中非課税 |
上限額 | 第1号被保険者6万8000円
第2号被保険者2万3000円 (公務員や企業年金がある会社員は1万2000円) 第3号被保険者2万3000円 |
年間40万円 |
投資対象 | 定期預金、投資信託、保険 | 株式を含んだ投資信託・ETF |
受取方法 | 60歳から年金または一時金 | 自由に引き出せる |
手数料 | 口座開設費2777円
国民年金基金連合会103円 資産管理信託銀行64円 信託報酬、販売手数料 |
信託報酬とETFの販売手数料のみ |
最低投資額 | 5000円 | 1000円 |
どっちを選べばいいの?
ここまでは、イデコとつみたてNISAの特徴や比較を紹介してきましたが、実際にどのように選んでいけばいいのかを紹介していきます。
これからのライフイベントで考える
まず、両者の大きな違いは、『引き出し』ができるかどうかです。
イデコは原則60歳までひきだすことができず、自由度が低いといえます。一方のつみたてNISAはいつでも自由に引き出すことができるので自由度が非常に高い資産運用といえます。
ということで、今後のライフイベントで、
『今後、まとまったお金が必要になるか?』
が重要な考え方になります。
20代は、今後結婚や育児・教育資金、マイホームの購入など、まとまったお金が必要になるライフイベントがたくさん控えています。
イデコに積み立てていて、お金がない!となって余計な借り入れをするのは本末転倒ですよね。
ですので、20代や30代の比較的若い世代は『つみたてNISA』のほうが合っている場合が多いです。
しかし、お金に余裕があればイデコを積極的に利用して、『イデコの節税』を最大限に活用するべきです。
自由度の高さはつみたてNISA
どちらの制度も長期の運用になりますが、自由度という点ではつみたてNISAが有利です。
20年、30年という長い期間の積み立てになります。5年後10年後になにが起きるかは実際のところわかりません。
iDeCoは、『何か』あってもお金を受け取ることができないため不便に感じることがあるかもしれません。
老後資金としてはiDeCo
お金の流動性のデメリットはありますが、老後資金としては断然iDeCoが有利になります。
まず、掛金の全額所得控除がすごいです。
30年間限度額で運用したときの節税額は、
公務員、企業年金のある会社員 | 企業年金のない会社員 | 自営業 | |
年収500万円の人 | 129万6000円 | 248万4000円 | 734万4000円 |
本来であれば払うべき税金がこれだけ『払わなくていい税金』に変わるんです。
掛金の全額所得控除の威力がどれくらい凄いのかがわかります。
初心者はつみたてNISAから
イデコは、1度掛金を積み立てると60歳までは自由に使うことができません。
初めての投資で、要領等をつかんでない時期にイデコを利用すると、失敗してしまうこともあります。
その分、つみたてNISAであればいつでも引き出し可能なので、失敗したと気づいてもすぐに修正が可能ですね。
また、つみたてNISAで扱っている商品は、金融庁の厳しい基準をクリアしたものになっていて初心者も失敗しにくい商品が多いのも魅力です。
まずは、つみたてNISAを試してみて、投資の感覚を身につけてからイデコを利用するのも手段の1つですね。
残りの積み立て年数で考える
イデコは、10年間の積み立て期間があると60歳から受取ることができますが、55歳で加入した場合は60歳というイデコの加入期間まで残り5年しかありません。
10年の積み立て期間を満たしていないため60歳から受取ることができなくなるんです。
*加入期間が10年に満たない場合は、受取年齢が段階的に引き上げられていきます。
また、60歳を過ぎても働き、資産運用を続けていきたいという人には、つみたてNISAがオススメです。
イデコと違い、つみたてNISAには年齢制限がないため、例え80歳になっても利用することができます。
目標金額(ゴール)で決める!
老後に必要な生活費は、数千万円とも言われていますね。
人によって、老後までに準備しておく金額は違うので、○○万円準備しておこうとは、一概には言えません。ですので、上記の記事を参考にしつつ自分に必要な資金を把握しておきましょう。
そして、ここで把握した金額によって、積み立てNISAとイデコのどちらかを選ぶようにします。
特に、厚生年金に加入できない第1号被保険者の人は老後までに用意しておくお金が多くなります。
このように、老後資金をガッツリ用意する必要がある人は、イデコを利用して積極的に資産形成をしていく必要があります。
まとめ
イデコとつみたてNISAは比較対象としてよく取り上げられますが、私個人の意見は『イデコ』をオススメします。
自由に引き出せないデメリットはありますが、逆を言えば、強制的に老後資金を準備することができるということにもなります。
また、毎年の節税効果が大きく、節税しながら老後資金を準備できるのも理由の1つです。
『早く始めたほうが節税効果が大きい』という広告もありますが、焦らずじっくりと選んで慎重に決めるようにしましょう!