これからiDeCoで資産運用をしようと考えている人、老後資金の形成のためにiDeCoを利用しようと考えている人に確認してほしいことがあります。
本当にiDeCoで大丈夫なのか。
資産運用の方法はなにもiDeCoだけではありません。
『iDeCo、手数料』や『iDeCo、メリット』などで検索するとほとんどが比較サイトだったり、一般的なメリットとデメリットしか紹介していませんが、『手数料』を本当の意味で理解すると、iDeCoで損する人が出てきます。
私は、iDeCoをオススメしていますが、それは全ての人にあてはまるわけではなく、一定の条件の人には、オススメできないこともあるのも事実です。
始める前に、この記事を読んで、本当にiDeCoで資産運用するのが正しいのかを考え直してみてください。
iDeCoは手数料が高い!?知らなきゃ損する、手数料0円の落とし穴とは?
iDeCoには様々な手数料があり、金融機関によって差がありますね。
SBI証券や、楽天証券、マネックス証券などの大手の証券会社では、ノーロードと言って、手数料が無料となっていますが、実際にはどの証券会社や金融機関を選んでも『手数料』はあります。
そして、この手数料がバカにできないんです。
今では、ほぼ全ての人がiDeCoに加入できるようになりましたが、それと同時にiDeCoで損する可能性がある人も出てきました。
あなたの場合はどうでしょうか?
手数料について、しっかりと理解してからiDeCoを始めるかどうかを決めていきましょう。
iDeCoの手数料は全部で5つ
iDeCoで発生する手数料は、
- 開始手数料
- 口座管理手数料
- 給付手数料
- 還付手数料
- 移換手数料
これらの手数料は、
国民年金基金連合会、信託銀行、運営管理機関(証券会社や金融機関)
で発生するもので、手数料によって支払先がかわってきます。
開始手数料
iDeCoを始めるときや、企業型確定拠出年金から移換するときに発生する手数料が2777円です。
この金額は国民年金基金連合会に支払う手数料なので、どの金融機関や証券会社を選択しても発生する手数料です。
口座管理手数料
iDeCoを始めると専用口座が開設されますが、その口座の管理に手数料が発生してきます。
国民年金基金連合会に103円
信託銀行に63円
運営管理機関は、それぞれの機関によって異なるが、SBI証券などは、ノーロードとなっている。
給付手数料
60歳までコツコツ積み立てて運用した資産を受け取るときに発生する手数料です。
iDeCoの受け取り方法には、いろいろありますが、多くの場合が
年金か一時金です。
*年に2回や、一時金と年金の併用もできます。
給付手数料は、1回の給付につき400円+消費税が発生するので、現在は432円の手数料が給付のたびに発生することになります。
この手数料は信託銀行に支払うものなので、どの運営管理機関(SBI証券や楽天証券など)を選んでも発生するものなります。
還付手数料
還付手数料とは、限度額以上に積み立てられた金額があった場合や、iDeCo加入の資格がない場合に支払われてしまった金額を、支払者に返すときに発生する手数料です。
また、国民年金を支払っていない場合は、iDeCoに加入する資格がないので、還付に該当します。
還付されることはあまりないので、そんなに気にする必要はない手数料ですが、
国民年金基金連合会に1029円
信託銀行に432円が支払われます。
還付自体はあまり起こりませんが、手数料が他に比べると大きいので注意が必要です。
自分がiDeCoに加入する条件を満たしているのかを確認しておきましょう。
移換手数料
iDeCoは、1人1口座となっているので、運用中に他の運営管理機関に変えたい場合は、移換手数料が発生します。
この手数料は運営管理機関に支払うもので、金額もさまざまですが、だいたい4500円前後の金額が発生してしまいます。
iDeCoは60歳まで長い期間のお付き合いになるので、慎重に運営管理機関を選びましょう。また、どうしても変更したい場合も手数料が発生することを考えて変更するようにしましょう。
iDeCoを手数料で選んではいけない
iDeCoについて検索すると、『iDeCoは手数料で選ぶ』といった内容をよく目にします。
たしかに、手数料は重要です。
特に、iDeCoは長い期間、資産運用をしていくことになるので毎月、少額の手数料でもチリも積もればで大きな金額になります。
しかし、大手の運営管理機関(SBIや楽天)などでは手数料無料が当たり前のようになっています。
iDeCoで発生する手数料は、前述したように
- 国民年金基金連合会
- 信託銀行
- 運営管理機関
この3つです。
国民年金基金連合会と信託銀行に支払う手数料は、どの運営管理機関を選んでも同じです。
ということは、結局どの運営管理機関を選んでも同じということです。
では、iDeCoを始めるにあたりポイントになってくるのは、なんでしょうか?
iDeCoの選び方とは?
iDeCoの限度額は重要
iDeCoの限度額は、
- 第1号被保険者は68000円
- 第2号被保険者は12000円
- 第3号被保険者は23000円
となっています。
これは、あくまでも限度額の話で、実際に積み立てる場合は、5000円から1000円きざみで掛金を決めることができます。
つまり、どんな人でも5000円からiDeCoを始めることができることになります。
私の言う、限度額とは、保険の種類による限度額ではなく、個人が積み立てることのできる金額の限度額です。
少額で積み立てる場合は、手数料の比率が高くなり、思っていたよりも大きなメリットを得られなくなることもあります。
iDeCoの節税メリット
iDeCoは、掛金の全額を所得控除でき、節税の効果が高いと言われています。
たしかに、私も節税の効果が高くメリットが非常に大きいものだと思っていますが、もう少し踏み込んで考えてみましょう。
60歳までは、積立による節税効果を得ることができますが、給付を受けるときは一時金か年金かを選択して受け取ることになります。
つまり、給付時は税金がかかるんです。
まず、一時金で受け取る場合は、退職金として所得控除することになりますが、公務員や大企業に勤めている人は、退職金が大金になることが多いですよね。
退職金の控除は1度使うと、2度目以降は、控除の金額が少なくなります。
また、年金として受け取る場合も、公的年金として扱うことができ、公的年金控除を受けることができます。
年金保険の場合、公的年金控除はありませんが、年金保険料を必要経費として控除することができますが、iDeCoの場合は、必要経費は存在しません。
掛金全額控除の落とし穴
iDeCoの1番のメリットは、掛金の全額を所得控除できることです。
しかし、60歳からiDeCoの給付を受けると、所得税が発生します。
つまり、掛金控除しても、未来に所得税を支払うことには変わりないんです。
また、運用益も非課税とされているiDeCoですが、運用益も給付されるときには所得税として差し引かれるわけです。
なので、iDeCoの節税効果は、節税というよりも、所得税の支払いを将来に繰り延べていると考えることができます。
口座管理手数料の真実
掛金を積み立てるときに発生する口座管理手数料ですが、積立をしない場合でも手数料は発生するんです。
国民年金基金連合会に103円
信託銀行に63円
運営管理機関は、0円が多い
つまり毎月、なにもしなくても166円、年間約2000円が発生することになります。
毎月5000円を積み立てた場合
将来に向けて、少額でも毎月コツコツと積み立てていくことは素晴らしいことですし、将来をしっかりと見据えた人だと思います。
しかし、5000円の積み立ての場合、実際に計算するとどうなるのでしょうか?
まず、5000円×12か月で6万円です。これが年間の積み立て額です。
これに、手数料が最低でも、2000円が発生します。
さらに、先のことになりますが、年金で給付した場合、年間で約5200円がかかります。
積み立てる年数にもよりますが、40歳でiDeCoを始めて、80歳まで給付を受けた場合は、積立期間と給付期間が同じになりますよね。
つまり、6万円の積み立てのうち、7200円が手数料として発生すると考えて差し支えないことになります。
この場合の積立金額に占める手数料は、8.3%です。
つまり、運用益で8.3%を出さないと実質は損をするということになります。
『掛金の全額を所得控除できるから、そんなことはない』という反論もありますが、前述したように、所得控除されても、将来に給付されるときに所得税はキッチリ搾り取られます。
8.3%の運用益を平均して達成することは極めて困難になります。
初心者にはまず不可能な数字だと言えます。
考え方によっては、iDeCoの節税メリットはあってないようなものです。
また毎月の積立額が少額の場合は、損する可能性のほうが圧倒的に高いと言えます。
まとめ
2017年に改正され、ほぼ全ての人がiDeCoに加入できることになり、一気に有名になりましたが、注意点はいくつかあります。
その中でも最も重要なのが、iDeCoは必ずしもお得な制度ではないということです。
ここまで説明してきたように、iDeCoには5種類の手数料があり、掛金が少額すぎると損することがあります。
少額すぎると、手数料以上の運用益を出すことが困難になってきます。また、今回は紹介しませんでしたが、iDeCoで投資信託を運用すると、信託手数料というものが発生します。
投資信託のほかに安全性の高い、定期預金もありますが、運用益が低すぎてしまいます。
公務員はiDeCoを利用できるようになったとはいえ、毎月の限度額は12000円と少額です。また、第3号被保険者の人は23000円が限度額ですが、毎月、限度額いっぱいを積み立てるのも難しいこともあると思います。
このように考えると、iDeCoで得する人と損する人が出てくることがわかると思います。
資産運用は、iDeCoだけではありません。
他にもいろいろな運用方法があります。
iDeCoにこだわることなく、他の資産運用についても考えてみてはどうでしょうか?